しっとり&さわやか!県産鶏胸肉の洋風棒棒鶏
沖縄では冬から春にかけて島人参や島らっきょうといった伝統的な島野菜だけでなく、セロリやいんげんなどの一般野菜も多く旬を迎えます。
「太陽をたくさん浴びて育った沖縄の野菜は、ひとつひとつが力強くて味が濃い。それが魅力ですね」と話すのは、フランス料理店「AU GAMIN DE TOKIO (オー・ギャマン・ド・トキオ)」をはじめとする人気店を営み、メディアでも活躍する木下威征シェフ。
木下シェフは2020年2月、宮古島にヴィラとレストランが併設された宿泊施設「Grand Bleu Gamin(グランブルーギャマン)」をオープン。地元のならではの食材も取り入れた繊細で独創的な木下シェフのフレンチを楽しみに、県内外から多くのゲストが足を運んでいます。
今回は木下シェフに、旬の県産野菜をたっぷりいただけるオリジナル洋風棒棒鶏(バンバンジー)のレシピを教えていただきました。
使用する材料は県産鶏胸肉に県産きのこ(しめじ、えのき)、ピーマン、セロリ、オクラ、いんげん、島人参、島らっきょうなど。カラフルな食材は、見るだけでもワクワクしてきます。
「胸肉は皮を取って、野菜類は全部細切りにします。(画像)右上の島レモンは、シークヮーサーの果汁と合わせてドレッシングにします。では、早速始めましょう」
まずは鶏胸肉の下ごしらえ。チキンブイヨン(または鶏ガラスープ)を入れた水を沸騰させ、そこに鶏胸肉を入れます。
「肉を入れるといったん温度が下がるので一度沸かし、沸いたらすぐ弱火にします。ゆっくり火を通すことで、鶏肉がパサつかずしっとりと仕上がるんです。余熱で火を入れていくくらいのイメージですね。鶏肉を茹でる前に湯をしっかり沸騰させておくこともポイントですね」
水の量は鶏肉全体が浸かるくらいが目安。乾燥を防ぐためにキッチンペーパーで落としぶたをして約10分、中まで火が通ったら取り出します。
粗熱が取れたら、手で細かく割いておきましょう。
次は野菜を炒める工程。フライパンにオリーブオイルを入れ、島ニンニク、島唐辛子を加えて火にかけます。
「熱したところに入れてしまうと、ニンニクの香りが出る前に焦げてしまうので気をつけてくださいね。強火で、時々フライパンをゆすってください。ニンニクがじわじわ〜と動き出したら、中火にします。辛いのが好きな人は、唐辛子を割って中の種を加えてもいいですよ」
ニンニクの香りが立ち、こんがりと茶色く色づいたら野菜投入の合図!
「加える順番はまず水分の多いきのこ類から。その次にセロリや島らっきょうなどの色の白い野菜、そして島人参と赤・緑のピーマンです」
軽く炒めたら、そこに塩をひとつまみ。これは味付けではなく、野菜の水分を引き出すためなのだそう。野菜がしんなりしてきたら、最後にインゲンやオクラといった緑色の野菜を加えます。
「ピーマンはそれほどでもないですが、緑色の野菜は加熱しすぎると色味が飛んでしまうので最後に入れたほうがいいですね。全て生でも食べられる食材なので、炒めすぎないように」
さっと炒めたら、鶏胸肉を茹でた茹で汁を少々加えて蓋をします。
「蒸し煮にすることで、野菜の旨味が十分に引き出されるんです。時間は1分くらいで大丈夫ですよ」
炒めた野菜をバットに移したら、合わせておいたドレッシングの半量をかけて和えます。熱いうちに和えることで、冷めていく間に味が染み込むそうです。
「ドレッシングを一般的なレモンで作る場合は甘みを出すためにビネガーや砂糖を加えますが、島レモンとこの時期のシークヮーサーには甘みがあるので、搾り汁に、塩、コショウだけでも十分。ご家庭で作る場合は、ここにうま味調味料を少しいれると味がしまります」
ほぐしておいた鶏胸肉、残りのドレッシングも一緒に和えたら、冷蔵庫で1時間ほど冷やします。
「冷やすと味がしまり、野菜の色味もきれいに出ます。でも、温かいうちに食べてもとてもおいしいですよ!」
器に盛り付け、たっぷりの炒りごまをかけたら完成です。黄・赤・緑とカラフルな彩りが食欲をそそります。
ひとくち食べてみると、まず鶏肉のやわらかさとしっとりとした食感に驚き!そして、肉、きのこ、野菜など様々な食材のうま味が、さわやかな柑橘の香りとともに口の中に広がります。さっぱとした味わいにごまの香ばしさがアクセントになり、ついつい箸がすすむおいしさです。
「茹でた麺を合わせて冷やし中華風に食べるのもおすすめです。鶏肉が苦手な人はハムで代用してもいいですし、夏ならゴーヤーを加えても合いますよ」
野菜がたくさん採れて、食べ応えも十分。子どもから大人まで、喜ばれる一品です。
(2人分)
- 鶏胸肉
- 2枚
- しめじ
- 1/2束
- えのき
- 1/2束
- ピーマン(赤・緑)
- 各1個
- セロリ
- 1本
- オクラ
- 5本
- いんげん
- 10本
- 島人参
- 1本
- 島らっきょう
- 10本
- シークヮーサー
- 5個
- 島レモン
- 1個
- 島ニンニク
- 2個
- 島唐辛子
- 2個
- 塩
- ひとつまみ
- コショウ
- 少々
- オリーブオイル
- 大さじ3
- うま味調味料
- ひとつまみ
- 炒りごま
- 大さじ1
- ❶. 鶏胸肉は皮を取り、チキンブイヨンを入れて沸騰させたお湯に入れて、弱火でゆっくり火を通す。火が通ったら取り出し、手で細かく割く。
- ❷. きのこはほぐし、野菜は全て細切りにしておく。
- ❸. ドレッシングを作る。島レモンとシークヮーサーを搾り、塩、コショウ、うま味調味料で味を調える。
- ❹. フライパンにオリーブオイルを入れ、島ニンニク、島唐辛子を加えて火にかける。ニンニクが色づいたら中火にし、きのこ類、セロリと島らっきょう、島人参とピーマンの順に加えて軽く炒め、塩を入れる。オクラ、いんげんを加え、鶏胸肉の茹で汁を少し加えて蓋をし、約1分蒸し煮する。
- ❺. ④をバットに移し、③のドレッシングの半量と和える。ほぐした鶏胸肉、残りのドレッシングを加えてまた和える。
- ❻. 冷蔵庫で1時間ほど冷やしたものを皿に盛り付け、食べる直前に炒りごまをかける。
❶ 鶏胸肉は弱火でゆっくり火を入れる。
❷ 炒りごまは食材と和えてしまうと香りが飛んでしまうので、食べる直前に。
Grand Bleu Gamin 木下威征さん
- 住所
- 宮古島市平良字荷川取1064-1
- TEL
- 0980-74-2511
- URL
- https://www.grand-bleu-gamin.com/
1972年東京都出身。フランスやイタリアで修業し、人気レストランの料理長を歴任。2008年に独立し、レストランやショップなどを展開。2020年にオープンしたグランブルーギャマンでは、「一食入魂」の想いを胸に、木下シェフ自身が腕をふるう。